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愉快で素敵な物語(5) 「べらんめえで愛された」Oさん

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お客様とのエピソード集

介護職の面白さ

Oさんとの出会い 銭湯での入浴介助

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忘れられないお客様がいます。

 

ホームヘルパーをしていた頃に出会ったOさんというお客様。

60代男性で、左半身マヒがあります。

 

飲み屋でお酒を飲んでいる時に脳出血を起こしたそうです。

 

ちょっと怖そうな見た目で言葉も荒く

慣れるまで時間がかかりました(;^ω^)

 

Oさん宅でのお仕事は「入浴介助」「その他、家事など」。

 

入浴介助といっても自宅にお風呂がなくて

近くの銭湯へ行きます。

 

まずアパートの急な階段を降りるところからですが

Oさんが片手で手すりを持ちながら、マヒ側の足を引きずって

ヘルパーは下でそれに付き添います。

 

Oさんが足を踏み外したら、一緒に落ちてしまうかも知れず

いつもヒヤヒヤしていました。

 

車イスに乗り、銭湯へ。

 

着替えるのを手伝い、洗い場へ。

 

時々、タイルに泡が残っていたりするので、お湯でそれを流しながら

マヒ側に付き添って歩行介助をします。

 

これもまたヒヤヒヤしました。。

 

髪や体を洗うのを手伝い、湯舟へ。

 

熱いお湯に長時間入るので気が気じゃなかったのですが

Oさんは気持ちよさそうに鼻歌を歌っています。

 

帰りは屋台で焼き鳥を買って、一緒に自宅へ帰ります。

 

Oさんはお酒はやめましたが「つまみはやめらんねえな」と

タバコを吸ったり焼き鳥を食べたり、帰ってからも忙しそうです。

 

Oさんの過去。亡くなってから、続々と人が集まってきた

戸口の前に立つ人々のグループ

 

最初は(当時)若造だった私にも、ほかのヘルパーさんたちに対しても

警戒心をあらわにしていたOさんでしたが

(家に入られるのがイヤだったみたいです)

 

1年ほど訪問していると、色々とご自分の話をしてくれました。

 

昔、カタギではない商売をしていて、とにかく酒と喧嘩の日々で

派手に暴れまわったそうです。

 

自分は敵なしだと思っていたんだけど、そんなのウソだったなあ。

 こうなってみるとよくわかるよ

 

でも、あんな時代でも不思議と懐かしく思えるんだよ

 

と、遠い目をして言っていました。

 

「家族なんていねえよ」と言っていましたが

Oさんが亡くなった時、今まで登場してこなかった娘さんや

アパートの大家さんはじめ近所の友人たちが

10人ほど集まって、葬式の準備や細々したことをやってくれました。

 

みんなで思い出話を語っている内容は、若々しく

人情に厚いOさんの姿を浮き彫りにします。

 

ちゃんと愛されてたんじゃん・・

 

介護の仕事は、ここが面白い ~ 人生の図書館 ~

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介護の仕事をしていて何が得られるのかといえば

お客様が「人生のいろんなこと」を教えてくれる部分です。

 

 

お客様によって人生観や家族関係などはまるで違っていて

本当に人間模様というか

 

特に信頼関係が出来てくると「人生に大切なことはね」

みたいな言葉を、会話のふとした時に教えてくれます。

 

介護職の経験を積めば積むほど

それがどんどん増えていって

自分の人生のいろいろな局面で

「ああ、あの人はこう言っていたな」とか

「あの言葉はこういうことだったのか」とか

あとになって勉強になることが多いです。

 

 

ここまでお客様と密に接して学べる仕事は

少ないのではないかと思うくらいです。

 

「やりがい」というと綺麗ごとに聞こえてしまうかも知れませんし

どうしても分かり合えないお客様ももちろんいます。

 

22年も介護のお仕事をしていて

一度も「福祉」「奉仕」と思ったことがないのはどうしてだろう?

と思いました。

 

それは、自分にとってこのお仕事は「ガチンコの人間対決」だからです。

 

こちらの人間性がモロに試されるし、明日もお相手と会えるか分からない。

 

1回1回の対面が真剣勝負というか・・

 

まあ、結果的にはお客様の人間力や自分の実力不足で

連敗を続けていますが(^_^;)

 

 

介護で出会うお客様は、懐が広い方が多いような気がします。

 

戦争や病気や、家族との辛い思い出や

とにかく、くぐってきた修羅場を「昔のことだべ」と笑えるのは

単純にリスペクトしてしまいます。

 

新しいお客様に出会うたびに

また「ページ」が増えていきます。

 

私のキャリアが終わる頃には

かなり分厚い本になっているのではないでしょうか。

 

ここまで読んでいただき、ありがとうございました(^^♪

 

 

 



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