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愉快で素敵な物語(4) 「はじめて尽くし」Yさん

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お客様とのエピソード集

むかし行った介護現場は忘れられない。

はじめての「疥癬(かいせん)」

笑顔の男

ホームヘルパーをしていた頃、Yさんというお客様と出会いました。

 

Yさんは、奥様と2人暮らしの90代男性です。

 

認知症を患っていて、5分前の記憶も忘れてしまい

シャキッとしている奥様がサポートしています。

 

2人はいつも喧嘩していましたが、すぐ仲直りしていました。

 

私は月~金曜日まで訪問していて

掃除や洗濯、買い物、Yさんの清拭や通院介助などをしていました。

(当時は、同居家族がいても家事援助が出来ていました)

 

Yさんは杖で歩いていますが、通院などは車イスで行っていました。

 

ある日、Yさんと病院に行き、自宅に着くまぎわ

事務所から電話。

 

あの、Yさん疥癬かも知れないから気を付けてね

 

私はその時、「かいせんって何だろ?」と思いながら、事務所の人に聞きました。

 

疥癬(かいせん)は必ず隔離すべき?介護職員なら知っておきたい、最新の対処方法をお伝えします! | OG介護プラス (ogw-media.com)

*引用元:「OG介護プラス」様

 

 

マジ??移乗する時とか、けっこうYさんの体に触ったけど・・

 

不思議なもので、疥癬と分かると自分までかゆくなってきます。

 

その後調べると、確かにYさんは疥癬でしたが

同居の奥様(ついでに私も)は最初から最後まで感染しませんでした。

 

その後の訪問は防護服を着て、消毒などを徹底して対応しました。

 

疥癬の感染予防対策 | マルホ 医療関係者向けサイト (maruho.co.jp)

*引用元:「maruho」様

 

「かゆい、かゆい」と言いながら、Yさんは体をかきむしっていました。

 

はじめての「救急搬送」

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またある日の夕方

Yさん宅に訪問して、もうすぐ仕事も終わるという時

急に私の腹が痛くなってきました。

 

トイレをお借りしましたが、何も出ません。

 

吐き気と腹痛がひどくなっていき、冷や汗が出てきます。

 

私は這うように電話を借り、事務所に電話しました。

 

「すみません、救急車呼んでいいですか?」

「Yさん、どうしたの?」

いや・・私が倒れそうで

「???」

 

私はそれまで救急車を呼んだ事はなかったのですが

初めての救急要請は、自分のためでした(;^ω^)

 

奥様はパニックになり、横になっている私に、乾いた洗濯物をかぶせていきます。

 

Yさんは心配そうに「おい、どうした?」と言い

奥様が「うるさい!」と叫んでいます。

 

救急車が到着すると、近所の人達が集まってきました。

 

90代のご夫婦が住んでいる家だというのはみんな知っているので

「ついにご主人か奥さんのどっちかが・・」みたいな雰囲気のなか

私が担架に乗せられて運ばれます。

 

「・・誰?」

「ヘルパーさんよ」

という声が聴こえてきて、恥ずかしくて「早く運んでくれ」と思いました。

 

病院に搬送され、レントゲンを撮ると

軽い腸閉塞を起こしていました。すぐに浣腸され、トイレへ。

 

若い女性の看護師さんが付き添ってくれましたが

これが本当に恥ずかしくて・・。

 

排便が終わると、うそのように腹痛がおさまりました。

 

処置室の廊下に、私の上司が迎えに来てくれました。

あまり見ないような笑顔とともに。。

 

大変だったねえ

 

言葉とは裏腹の楽し気なトーンで労って?くれました。

 

この「便秘事件」は、しばらく事務所の中でネタになっていました。

 

はじめての「徘徊」対応

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Yさんは夕方になると時々「家に帰る」と、身支度をして

どこかに出かけようとします。

 

これから夕飯を作ろうという奥様が「ここが家だ!」と怒ります。

 

だいたいは「そうか」と言っておさまるのですが

その日はどうにも興奮状態のYさん。

 

奥様も「もう、どこにでも行け!」とサジを投げます。

 

ほっておくわけにもいかず、私も追いかけます。

 

Yさんは家の近くでタクシーを拾い、仕方なく私も同乗します。

 

運転手さんに道案内しながら、Yさんもだんだん混乱してきました。

「どこに行くんですか」とたずねても「うん、まあ」しか言いません。

 

運転手さんも、だんだん状況を把握したようになり

近所をグルグルまわるだけの現状に困ってきました。

 

しばらく車を走らせたあと、Yさんは諦めたように「帰るか」と言い

自宅に戻りました。

 

玄関では、奥様が心配そうに立っています。

 

帰ってきたYさんに「どこへ行こうとしたの」と奥様がたずねます。

「いやあ・・あいつがいるかと思ってな」とYさん。

 

「あいつ」というのはずっと昔に付き合っていた愛人で

奥様もその人のことを知っていたのです。

 

Yさんはその後、杖で何度か叩かれていました(´;ω;`)

 

むかし行った現場の近所って、つい行ってしまう。

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それから15年ほど経ち、私はYさん宅の近所へ行ってみました。

 

家はまだありましたが、庭は雑草が伸び、誰も住んでいません。

 

隣りの家には、当時住んでいた方がいたので聞いてみると

Yさんは亡くなり、奥様は施設に住んでいるとのことでした。

 

介護の仕事をしていると、町のあちこちに

「ああ、この家に行ったなあ」「この公園で休憩したなあ」など

センチメンタルな気分になることがあります。

 

そうした思い出の1つ1つが

あとになって胸をしめつけます。

 

 

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