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【レクは偉大】介護職が提供する「人生最期のライブ」

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お客様とのエピソード集

レクは偉大。

弾き語り始めた介護職

茶色のアコースティック ギターを弾くグレーの v ネック長袖シャツの男

 

20歳の頃からギターを初めて

特にデイサービスで働くようになってから

お客様の前で弾き語りをするようになりました。

 

それからも色んな場所で、もう20年以上歌っています。

 

デイのレクやイベントでやっていたり

休日にボランティアで特養などで演奏したり。

 

だいたいは歌謡曲や唱歌など、お客様が知っていそうな曲を選びます。

 

始めたばかりの頃は、何が喜ばれるのか分からなかったので

図書館で「昭和の名曲全集」のCDを借りたり

ネットで「高齢者 レク 歌」などで調べたり。

 

(「北国の春」がこんなに有名な歌とは知りませんでした・・)

 

最期の「赤とんぼ」

グランドピアノの横でバイオリンを弾く女性

 

デイで「赤とんぼ」を歌った時 上品な女性の方が

主人が好きだった歌なの」と。

 

その方のご主人はすでに亡くなっていましたが

戦争中に日本を守った功績が世界中で認められ、本にもなっていました。

 

ご主人の人生観や、本には書いていない自宅でのエピソードなど

 

「赤とんぼ」を歌い、お客様が反応してくれたことで

今まで聞かなかった思い出話を聞くことが出来て

そのお客様とはそれまで以上に仲良くなれました。

 

 

「赤とんぼ」でまた思い出すのは、有料老人ホームで勤めていた時。

 

自分は介護主任でしたが、施設で一番仕事の出来ない新人主任・・

スタッフの誰からも信頼されず、重い気持ちで仕事に行っていました。

 

その頃、入居者様の部屋に行き

雑談をするのがちょっとホッとする時間で

私は逃げるように、安否確認と称して色んな部屋にお邪魔しました。

 

たまにギターを持っていき、その方の思い出の歌を弾き語り

その歌にまつわる思い出話を聴いていました。

 

 

Iさんという女性のお客様がいて、ほとんど目の見えない方でした。

 

「赤とんぼ」を歌うととても喜んで下さり

目が見えないからこそ、逆に光景が浮かぶわあ」と言っていました。

 

元気だったIさんが急に具合が悪くなり入院し

お亡くなりになるまで、あっという間でした。

 

認知症も一気に進行し

入院中の病室で男性看護師に話しかけられるたび

私の名前で呼んでいたそうです。

 

Iさんのお葬式で、出棺の時に

お孫様とその友人たちが弦楽四重奏で演奏したのは「赤とんぼ」。

 

落ち着いた頃にご家族がホームまで挨拶に来て下さり

こちらにいた時に唄ってくれた赤とんぼが

 おばあちゃんが最期に聞いた生演奏でした。

 その曲で送り出せて良かった

と教えてくれました。

 

人生最期のライブ

講堂, シアター, アーキテクチャ, インテリア, 椅子, ホール, 歴史的

 

お客様にとっての「人生最期のライブ」をさせてもらうことは

私たちのお仕事にとって少なくありません。

 

目の前で簡単にエンタメをやって、おわりではなくて

それならば出来るだけ良いものを、という気持ちになります。

 

またある時は、同い年の友人から連絡が来て

今、入院中で余命わずかの友達がいる。

 病室でその人の好きな歌を歌ってほしい。

 病院には許可取ってるから」と。

 

その若い「友達の友達」と私は

面識もなく初めましてでしたが

 

病室でほぼ意識もなく

自分で寝がえりがうてないために

 

何曲か歌ったあとに

友人と一緒に体位交換をして、楽な姿勢になってもらいました。

 

 

EXILEの「」という歌が好きだったらしく

私はよく知らないままに覚えていって弾き語りました。

 

個室の前を通る看護師さんたちが、たまにのぞいていきますが

みんな、承知したようにこちらに会釈をして去って行きます。

 

それも、その方が聴いた「人生最期の生演奏」でした。

 

 

また、職場だった有料老人ホームのお部屋で

ALSという病気を患った男性と

毎日面会に来ていた奥様の前で歌うと

 

声を発せないその男性が文字盤を目で追い

それを奥様が拾い上げ

 

「お」「と」「に」「む」「だ」「が」「な」「い」

 

と伝えてくれた時、何とも言えない美しい気分になりました。

 

「期間を決めない全国ツアー」

道路上の黄色のフォルクスワーゲン バン

 

SNSでそういうことを少しずつ発信していたら

 

色んな県の施設管理者、社長さん、現場の方たちからメッセージが来て

いわゆる演奏依頼が来ました。

 

デイから介護施設から、時には市役所とか・・

 

介護予防運動の最終日に、景気づけでやってください

行政の人から依頼が来たのですが

 

その隣りの部屋では役所の人が真剣な会議をしていたみたいで。。

 

あれはやりづらかったなあ(´;ω;`)

 

いま思えば、演奏を聴かないうちに依頼するというのは

皆さん勇気がいったのではないかと思います。

 

どうして声をかけてくれたのかは分かりません。

 

福島県に呼ばれていった時、旅館を取ってくれたり

「千と千尋の神隠し」に出てきそうな温泉街を案内してもらい

 

美味しい餃子や温泉をご馳走になり

そこの会社の人達と介護現場の話をしたり。

 

期間を決めない全国ツアー」と名付け、色んな場所に行きました。

 

レクは偉大

ギターを弾く人

 

歌っていると、マジックを感じる瞬間が何度もあります。

 

ふるさと」を歌うと、どこの方たちとも

何も言わずに合唱が出来ます。

 

弾き語りが終わったあと

いつも歩けなかった方が普通に歩いたりして

スタッフさんが驚いていたこともあります。

 

弾き語りしていると、「ゾーン」に入ることがあります。

 

目の前の数十人のお客様、スタッフさんたちの動きが「予測」出来るというか。

 

「あ、あの人もうすぐトイレに立つな」とか

「あのスタッフさん、もうすぐあそこの方の介助に向かうな」とか。

 

不思議な感覚ですね。

 

これは自分から行ったのですが

オーストラリアの介護施設で歌った時にもマジックがありました。

オーストラリアの老人ホームでボランティアした時の話(3)
オーストラリアの介護現場で出会った人たち。みんなが「ケアするのが当たり前」という意識を持って接してくれたから、本当に心地よく過ごせたし、私の「介護観」のもとを作ってくれました。ありがとう。

 

 

ヒヤッと情けないことも多々ありました。

 

特養で、目の前に集められた入居者様80名のうち

70名くらいが寝ていた時や(笑)

 

ちょっと弾き語りに慣れてきて、調子に乗って

 

「何かリクエストはありますか(たぶん、歌謡曲だな)?」と

知らない土地のお客様に聞いたら

 

ジョン・レノンの『イマジン』!

チェット・ベイカーのジャズギターを!

何か、モーツァルトを」と

言われた時は、笑顔を作ることしか出来ませんでした・・。

 

 

音楽は本当に凄いパワーがあるし

誰にでも、どこにでも入っていける有効なツールだと思います。

 

弾き語りに限らず

スタッフが何かエンタメを出来るのであれば

それは、お客様に喜ばれ、快適にし、慰めて

時には古き良き思い出まで引き戻すことが出来るかも知れません。

 

レクは偉大です。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました(^^♪

 

 

 



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